【完全網羅】人事アウトソーシングの業務内容一覧|10分類で丸わかり

人事アウトソーシングの導入を検討しているものの、「そもそもどの業務を外部委託できるのか」が見えにくい方は少なくありません。本記事では、人事アウトソーシングで対応できる業務を全10分類で体系的に一覧表示し、各業務の具体的な作業内容、外部委託のしやすさ、そして自社の委託対象を特定する棚卸しフレームワークまで解説します。

人事アウトソーシングとは|業務内容を理解する前に知っておくべき基礎知識

人事アウトソーシングの定義と対象範囲

人事アウトソーシングとは、企業の人事部門が担う業務の一部または全部を、外部の専門業者に委託することです。対象範囲は給与計算や社会保険手続きといった定型的な事務処理から、採用業務や教育研修といった戦略的領域まで幅広く及びます。

人事業務の全体像を厚生労働省の業務分類に沿って整理すると、大きく以下の4領域に分かれます。

  • 雇用管理:採用、雇用契約、入退社手続き、人事データ管理
  • 労働時間管理:勤怠管理、労働時間集計、36協定対応
  • 賃金管理:給与計算、賞与計算、年末調整
  • 安全衛生管理:ストレスチェック、健康診断、メンタルヘルス対応

人事アウトソーシングは、これら4領域のいずれにも対応可能です。詳細なメリット・デメリットについては「[人事 アウトソーシング メリット デメリット]」の記事で解説しています。

人事BPO・オンラインアシスタント・RPOとの違い

人事アウトソーシングと類似するサービス形態には以下のものがあります。

サービス形態 特徴 対象業務の広さ
人事アウトソーシング 人事業務全般を外部委託する総称 広い
人事BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング) 特定の業務プロセスを包括的に委託 広い
オンラインアシスタント リモートで定型事務作業を代行 中程度
RPO(リクルートメント・プロセス・アウトソーシング) 採用プロセスに特化 採用に限定

BPOは業務プロセス全体を最適化まで含めて委託する点で、単なる業務代行とは異なります。オンラインアシスタントは給与計算や勤怠入力などの定型的な作業を柔軟に対応できるのが特徴です。

人事アウトソーシングの業務内容一覧|全10分類を網羅

以下に、人事アウトソーシングで外部委託できる業務を10分類でまとめました。

①給与計算・賞与計算

給与計算は人事アウトソーシングで最も導入実績が高い業務の一つです。具体的な作業内容は以下の通りです。

  • 月次給与の計算・明細作成
  • 賞与(ボーナス)の計算・明細作成
  • 各種控除(社会保険料・所得税・住民税)の算出
  • 年末調整の計算・手続き
  • 給与データの銀行振込データ作成
  • 給与台帳の作成・保管
  • 源泉徴収票の作成

給与計算はルールが明確で定型化しやすいため、外部委託に非常に向いています。詳細な専門解説は「[人事 アウトソーシング 給与計算 代行]」の記事をご覧ください。

②社会保険・労働保険手続き

社会保険・労働保険の手続きも委託率が高い業務です。

  • 健康保険・厚生年金保険の加入・脱退手続き
  • 雇用保険の加入・脱退手続き
  • 労災保険の年度更新手続き
  • 社会保険料の算定基礎届の作成・提出
  • 被扶養者異動届の作成・提出
  • 産前産後休業・育児休業に伴う手続き
  • 各種年金・保険の電子申請手続き
  • 介護保険被保険者異動届

法改正に追従する必要があるため、専門業者に委託することで確実性と効率性の両方が期待できます。詳細は「[人事 アウトソーシング 社会保険 手続き]」の記事を参照してください。

③勤怠管理・労働時間管理

従業員の労働時間管理に関する業務です。

  • 打刻データの集計・確認
  • 月次勤怠データの確定処理
  • 残業時間の集計・管理
  • 有給休暇の取得状況管理
  • 36協定に基づく時間外労働の管理
  • 勤怠システムの入力・運用代行
  • シフト表の作成補助
  • 特別休暇(慶弔・産前産後など)の管理

勤怠管理は給与計算や社会保険手続きとセットで委託されることが多く、一括して「[人事 アウトソーシング 料金相場]」の記事で料金体系を確認できます。

④採用業務(求人作成・書類選考・面接調整)

採用プロセスの一部または全部を外部委託できます。

  • 求人広告の作成・媒体への掲載管理
  • 応募者との連絡・面接日程の調整
  • 履歴書・職務経歴書の受領管理
  • 書類選考の一次審査補助
  • 面接の日程調整・会場手配
  • 選考結果の通知・辞退連絡代行
  • 内定者フォローの事務作業
  • 採用管理システムの入力・運用代行

採用業務の外注についてさらに詳しく知りたい方は「[人事 アウトソーシング 採用業務 外注]」の記事をご覧ください。

⑤雇用契約・入退社手続き

従業員のライフサイクルに伴う書類手続きです。

  • 雇用契約書・労働条件通知書の作成
  • 入社手続き(扶養控除申告書・年金手帳などの受領確認)
  • 退社手続き(離職票の発行・源泉徴収票の作成)
  • 異動・配置転換に伴う書類作成
  • 諸規程に基づく契約更新手続き
  • 雇用契約データの人事システム入力
  • 誓約書・同意書の受領管理

⑥人事制度設計・評価制度構築

人事戦略の中核を担う制度設計も、専門業者に委託可能です。

  • 等級制度の設計・見直し
  • 評価制度(目標管理・コンピテンシー評価など)の構築
  • 報酬制度(基本給・諸手当)の設計
  • 人事制度導入に向けた社内説明資料の作成
  • 評価者研修の設計・運営
  • 制度運用マニュアルの作成
  • 社員アンケートの企画・集計・分析

ただし、経営方針と直結するため完全な外部委託には限界があり、コンサルティング形式での支援が一般的です。

⑦教育研修・人材開発

従業員の能力開発に関する業務です。

  • 新入社員研修の企画・運営
  • 管理職研修の企画・運営
  • 階層別研修プログラムの設計
  • eラーニングの導入・運用支援
  • OJTメンター育成プログラムの設計
  • 研修受講記録の管理・集計
  • 研修効果測定(アンケート集計・分析)
  • キャリア開発支援の事務作業

⑧労務相談・メンタルヘルス対応

従業員の労務に関する課題対応です。

  • 労務相談窓口の設置・運営代行
  • ハラスメント相談の受付・一次対応
  • メンタルヘルス不調者のフォローアップ事務
  • 産業医との連携調整
  • 復職支援プログラムの事務作業
  • セクシャルハラスメント・パワーハラスメント対応の記録管理

労務相談は機密性が高く、社内の事情を深く理解した上での対応が求められるため、外部委託の難易度は比較的高めです。

⑨安全衛生管理・ストレスチェック

職場の安全衛生に関する業務です。

  • ストレスチェックの実施・集計代行
  • 健康診断の企画・実施手配
  • 健診結果の記録管理・データ入力
  • 長時間労働者への面接指導の事務手配
  • 衛生委員会の運営支援
  • 安全衛生方針・計画の作成補助
  • メンタルヘルス対策の企画立案
  • 労働安全衛生法に基づく各種届出

⑩人事データ管理・労務分析

データに基づく人事労務の管理・分析業務です。

  • 人事データベースの入力・更新・保守
  • 従業員基本情報の管理
  • 人事異動履歴・昇給履歴の記録管理
  • 人事統計データの集計・レポート作成
  • 離職率・勤続年数などの労務分析
  • 人材ポートフォリオの作成支援
  • 各種政府統計・届出データの作成
  • ダッシュボードの作成・更新

業務分類別の外部委託しやすさランキング

委託率が高い業務(給与計算・社会保険手続き・採用業務)

外部委託に特に向いている業務の特徴は、手順が定型化されていること法規との照合が主目的であることです。

順位 業務分類 委託しやすい理由
1位 給与計算・賞与計算 ルールが明確・計算処理が定型化可能
2位 社会保険・労働保険手続き 法定手続きが多く専門性が求められる
3位 勤怠管理・労働時間管理 データ入力が中心で定型化しやすい
4位 採用業務 事務処理(日程調整・書類管理等)の比重が高い
5位 雇用契約・入退社手続き ひな形を用いた書類作成が中心

委託率が低い業務(人事制度設計・労務相談)とその理由

一方で、以下の業務は外部委託の難易度が高めです。

  • 人事制度設計・評価制度構築:経営方針と直結し、社内の合意形成が必要なため、完全委託よりコンサルティング形式が適している
  • 労務相談・メンタルヘルス対応:機密性が高く、社内の人間関係や事情を踏まえた対応が不可欠
  • 安全衛生管理:一部は事務処理として委託可能だが、衛生委員会の運営などは社内対応が基本
  • 人事データ管理・労務分析:データ入力は委託しやすいが、分析結果の解釈や意思決定は社内で行うべき領域

厚生労働省の調査データで見る外部委託動向

厚生労働省が実施する「就労条件総合調査」等によると、人事・労務関連業務の外部委託割合は年々増加傾向にあります。特に給与計算・社会保険手続きを中心に、定型的な事務処理業務から採用業務まで、外部委託の対象範囲は拡大しています。全体として見ると、規則性の高い業務ほど外部委託が進んでいる傾向が確認できます。

人事業務を棚卸しする3ステップ|自社の委託対象を特定する方法

自社の人事業務のうち、何をアウトソーシングすべきかを特定するための実用的なフレームワークを3ステップで解説します。

ステップ1:現在の人事業務を洗い出す

まずは現状の人事業務をすべて書き出します。前述の10分類をチェックリストとして活用してください。

洗い出しの手順:

  1. 人事部門の担当者に各業務をヒアリングする
  2. 本記事の10分類に沿って業務を分類する
  3. 各業務の月次・年次の発生頻度を記録する
  4. 業務ごとの所要時間を概算する
  5. 現在の課題(ミスの多さ・納期の遅れ・担当者の負担等)を併記する

エクセルやスプレッドシートで一覧表を作成すると、後のステップで分類しやすくなります。

ステップ2:業務のコア・ノンコアを分類する

洗い出した業務を「コア業務」と「ノンコア業務」に分類します。

  • コア業務:経営戦略に直結し、社内で意思決定が必要な業務
  • 例:人事制度設計、評価制度構築、労務分析に基づく意思決定
  • ノンコア業務:定型的な手続きや事務処理で、外部でも遂行可能な業務
  • 例:給与計算、社会保険手続き、勤怠データ入力、採用の日程調整

判断に迷う業務は、「その業務が停滞した場合に会社の競争力に直接影響するか」を基準に考えると分類しやすくなります。

ステップ3:優先的にアウトソーシングすべき業務を選定する

ノンコア業務の中から、以下の条件を満たすものを優先的にアウトソーシングの対象とします。

優先選定の基準:

  • 担当者の負担が大きい(月に一定時間以上を費やしている)
  • ミスが発生しやすい、または発生時のリスクが高い
  • 専門的な知識が求められ、社内にノウハウが蓄積しにくい
  • 法改正の対応が頻繁に必要
  • 業務量の波がある(月末や年度末に集中する等)

これらの条件を満たす業務から順にアウトソーシングを検討することで、限られた予算で最大の効果が期待できます。

業務範囲別のアウトソーシング料金目安

人事アウトソーシングの料金は、委託する業務範囲によって大きく異なります。以下に一般的な料金目安を整理します。

単一業務(給与計算のみ)の料金相場

給与計算代行のみを委託する場合、従業員50名程度の企業で月額2万〜5万円が目安とされています。料金は従業員数や給与体系の複雑さによって変動します。

複数業務セット(給与計算+社会保険+勤怠管理)の料金相場

複数業務をセットで委託する場合、社会保険手続き代行単体では月額1万〜3万円程度が目安です。給与計算+社会保険+勤怠管理のセットであれば、従業員50名規模で月額5万〜10万円程度となるケースが一般的です。

包括的BPO委託の料金相場

人事業務の包括的なBPO委託の場合、業務範囲や従業員規模によって大きく変動するため、一概に料金を示すことはできません。概ね、従業員規模と委託業務数に応じて月額数十万円〜のスケールになることが多いですが、詳細は各業者への個別見積もりが必要です。

なお、料金の詳細な比較については「[人事 アウトソーシング 料金相場]」の記事で解説しており、サービス選びのポイントは「[人事 アウトソーシング 比較 おすすめ]」の記事で紹介しています。

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人事アウトソーシング業務内容まとめ|まずはノンコア業務から始めるのが成功の鍵

本記事では、人事アウトソーシングで外部委託できる業務を全10分類で体系的に解説しました。

10分類のおさらい:

  1. 給与計算・賞与計算
  2. 社会保険・労働保険手続き
  3. 勤怠管理・労働時間管理
  4. 採用業務
  5. 雇用契約・入退社手続き
  6. 人事制度設計・評価制度構築
  7. 教育研修・人材開発
  8. 労務相談・メンタルヘルス対応
  9. 安全衛生管理・ストレスチェック
  10. 人事データ管理・労務分析

人事アウトソーシングを成功させる鍵は、ノンコア業務から優先的に外部委託することです。給与計算や社会保険手続きなど、ルールが明確で定型化しやすい業務から始めることで、社内の負担を確実に減らしつつ、アウトソーシングの運用ノウハウも蓄積できます。

本記事の棚卸しフレームワークを活用して、まずは自社の人事業務の洗い出しか始めてみてください。アウトソーシングの具体的な選び方は「[人事 アウトソーシング 失敗しない選び方]」の記事で解説しています。また、中小企業向けの導入ノウハウは「[人事 アウトソーシング 中小企業 向け]」の記事をご参照ください。

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